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エタジマホンヤドカリ新種記載!

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昨年発見され、こちらでも何度かご紹介してきましたホンヤドカリ属の新種ですが、、、

本日ついに新種記載されました!!!

和名: エタジマホンヤドカリ
学名: Pagurus rectidactylus Komai, Saito & Myorin, 2015

Pagurus rectidactylus Komai, Saito & Myorin, 2015
Pagurus rectidactylus Komai, Saito & Myorin, 2015
Pagurus rectidactylus Komai, Saito & Myorin, 2015

そう、学名に僕の名前(明林)がっ!?
前回のカシワジマヒメホンヤドカリ/Pagurixus fasciatus Komai & Myorin, 2005に続いて、10年ぶり2度目の快挙です♪
詳しくはZootaxaに論文の要約があるのでご興味があれば♪

Zootaxa 3918 (2): 224–238 (11 Feb. 2015)
A new species of the hermit crab genus Pagurus Fabricius, 1775 (Crustacea: Decapoda: Anomura: Paguridae) from shallow coastal waters in Japan, with a checklist of the East Asian species of the genus (PDF)
TOMOYUKI KOMAI, YUMA SAITO & EIJI MYORIN

改めて去年を振り返ると、なんかイベントが目白押しでした。。。

そして今年も年明け早々、ヤドカリの学名に名前がっ!?

これもひとえに、いつも温かく応援してくださる皆さんのおかげ様々です!
でも~僕の日頃の行いも良かったよね???笑
もう、運使い果たしたかな???曝

と言う訳で、今後ともよろしくお願いいたします。

こちらのエントリーもどうぞ♪

白色蛍光タンパクWFP

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お母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?

平成生まれには通じません(笑)

1999年9月、今は無き近所のショップに純白のミドリイシが入荷しました。
あのミドリイシ、どうしたでしょうね?笑

純白に光り輝くミドリイシ

月日は経ち、水槽はなくなっても、ここに来て何故かLEDに関わることとなり(笑)、ついにはサンゴの反射スペクトル調査にまで手を出す始末。。。笑
そんな2012年のある日、ふと、思いました。

青くギラギラした蛍光ブルーのミドリイシ。。。
緑にギラギラした蛍光グリーン。。。
赤くギラギラした蛍光レッド。。。

・・・じゃ、白くギラギラしたのは、蛍光ナニ?

そこで、10年の時を遡り、先ほどの純白に輝くミドリイシが脳裏に蘇りました。
これ、あくまでも白化ではなく、今で言うスパスラタのようにウロコがギラギラした純白!
あれってもしや、↓こゆことじゃない!?

白色蛍光タンパク!?
ホワイト蛍光タンパク!?
White Fluorescent Protein !?
WFP !!! WFP !!! WFP !!!

白色蛍光タンパクの想像スペクトル

およそ400-420nm程度のUV光を浴び、およそ450-550-650nm程度の青-緑-赤を含む白色光を放つ、言うなればこれぞ白色蛍光タンパクなのでは???
と仮説を立てました。

しかし、これまで約3年ほどの間ひたすら探し回ってきましたが、未だ見つかりません。。。
そもそも、サンゴは元より生物由来の蛍光タンパクで白色蛍光を放つ存在自体、それを示す文献にすら遭遇しません。。。もしかしてそんな蛍光タンパク存在しないのかなぁ。。。
現物さえあれば反射スペクトル測定で一発で判るのにっ!!!

ちなみに、僕がこれまでに調査してきたサンゴの蛍光タンパクの発光スペクトルはこちら。

これまでの調査で集めたサンゴの蛍光タンパクの発光スペクトル

* 励起スペクトルは省略しています

かれこれ50パターン以上の蛍光発光スペクトルを見てきましたが、白色蛍光タンパクと思しきスペクトルは皆無。。。まあ、純白ミドリイシ自体にまだ遭遇できてませんからね。。。
ただ、お陰様で、同じような発色に見える蛍光タンパクでも、サンゴの種によってパターンの傾向があることが少しずつ見えてきました。蛍光の傾向。なんちて。

一方、化学合成の分野では、白色蛍光を放つ蛍光体は既に開発されています。
例えば、東京大学物性研究所 上田寛研究室の白色蛍光体バナジウム酸化物 AVO3(A:Rb,Cs)の励起発光スペクトルはこんな感じです。(下に引用元リンクあり)

白色蛍光体:バナジウム酸化物 AVO3(A:Rb,Cs)

また、独立行政法人産業技術総合研究所の白色蛍光体ペロブスカイト型酸化物蛍光体薄膜(CaTiO3:Bi)の励起発光スペクトルはこちら。(下に引用元リンクあり)

白色蛍光体:ペロブスカイト型酸化物蛍光体薄膜(CaTiO3:Bi)

いずれも、400-700nmの可視光線全域をカバーする広範囲な発光スペクトルを持っていることが読み取れます。
こうした単一物質による白色蛍光体は、旧来の白色LEDに用いられてきた青/緑/赤の蛍光体の混合方式に取って代わる次世代蛍光体として、現在研究開発が進められているようです。

詳しくはこちらをどうぞ。

ただ、これらの白色蛍光体は、励起波長がかなり低いんですよね。350nmあたりにピークのある300-400nmの範囲。でも、もしサンゴ礁に白色蛍光タンパクが存在するとしたら、あまり低い波長なはずがないんだよね。海中ではUVはかなり減衰しちゃうから。だから、どんなに低くても380nm以上に励起範囲がないと辻褄が合わない。
そうして行き着いたのが、最初に示したような想像スペクトルだった訳です。

ちなみに、旧来の白色LEDの蛍光体のように、複数の蛍光タンパクを持ち合わせたサンゴもこれまでにいくつか見つけてきました。
例えば、以下のディスクは、欲張りに3色もの蛍光タンパクを保有していました。
(SPSカラーレポートVOL3 28P参照)

BFPとOFP (ディスク)

これらの蛍光タンパクは、それぞれが独立した励起波長域を持つので、このように区別することが出来るのですが、一見オレンジ単色に見えるのに、その中からこうして複数の蛍光タンパクが見つかるなんて凄く不思議ですね。てことは、カラフルなバブルディスクやマメズナあたりだと、一体何色混じってるんでしょうね? いつか測定してみたい♪

一方、以下のカクオオトゲはかなり広範囲な帯域の発光スペクトルを持っていました。
良く言えば肌色?な蛍光オレンジです。
(SPSカラーレポートVOL3 22P参照)

ワイドバンドOFP (カクオオトゲ)

このカクオオトゲの蛍光オレンジは、単一の励起波長だけでこれだけワイドバンドに発光し、しかも緑と黄色にピークを持つ変わった発光スペクトルでした。
今のところ、これが最もワイドバンドで白色蛍光タンパクに近い存在かな(笑)
もう少し帯域が青の方まで広がってくれたら白色蛍光タンパクなのになぁ~笑

しかし、まだ諦めていませんよ。
いつかサンゴから世界初の白色蛍光タンパクWFPを発見し、GFPの下村先生に続くノーベル賞をっ♪笑

皆さんも、もしそれっぽい怪しい純白ミドリイシを見かけたら教えてくださいね。
またはお持ちの方は、枝を一本譲ってください!
ノーベル賞受賞の暁には、片町で豪遊いたしましょう~♪笑

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海中スペクトル測定に最適な防水ケース

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年末に投稿したUPRtek MK350にジャストサイズの防水パックですが、その後年明けに投稿したオージーサンゴの大盛り蛍光タンパクの理由でも触れたように、海中スペクトル測定に使用する防水ケースのナイロン素材によっては、400nm以下のUV域のロス量(透過率)が異なるため、測定結果を解釈する際にはその防水ケース特有のUVロス量も考慮する必要が出てきます。そうしたUVロスへの配慮は、UV LED採用時のレンズ選定にも大変重要で、そこを見誤ると今まで僕が散々警鐘を鳴らしてきたようなUV LED焦げ問題(例1)(例2)外部レンズ焦げ問題(例1)(例2)ような事故にも繋がりかねません(図式:UVロス=UVエネルギー衝突=透過体ダメージ)。そう考えると、年明け2発目の東京ビッグサイトでのLEDイベント2015の後半でもご紹介したUV透過率を考慮した東レのシリコンレンズが如何に有用かお判り頂けるでしょう。
そう、年末からのこれら3連記事は、実はすべてシンクロしていたんですね♪
僕は今気付きましたが(曝)
はい。ただの偶然です。東レのシリコンレンズを使う予定はありません(汗)

相変わらず前置きが長くなっております(汗)

そこで、過去に海中スペクトル測定に使用してきた各防水パックも含めて、今後の測定後の補正に役立てるべく、各防水ケースのUVロス特性を調べて比較してみました。

UPRtek MK350が収容可能な防水ケース

上から、

です。

検証手順は、

  1. まず基準光源として、SPSカラーレポートでも使用している5000Kハロゲンを測定。
  2. 各防水ケース越しで上記基準光源のスペクトルを測定。
  3. 1.と2.からUV透過率を計算しグラフ化

UV透過率の計算式はこんな感じ。

UV透過率計算式

但し、積分の式の書き方はあやふやかも(汗)

ホントは太陽光を測ろうと思ってたんだけど、天候がイマイチだったのと、太陽光だと測定ポイント(空の位置)によってスペクトルが結構変動するので、固定的な安定スペクトルの確保を優先して、敢えてフルスペクトルなハロゲンを利用することにしました。
ちなみにスペクトロメーターはUPRtek MK350ASEQ LR1を使用しました。

まず、MK350でのグラフ比較から。

ベース光源 5000Kハロゲンと各防水ケースのUVロス特性 (MK350グラフ)

はい。これじゃ違いがサッパリ判りませんね(笑)
なので、こうした検証には生データ(エクセルファイル)の方を用います。
その結果がこちら。

まず、基準光源5000Kハロゲンのスペクトルです。

ベース光源 5000Kハロゲン (MK350)

そして、各防水ケースの測定結果から算定したUVロス特性グラフがこちら。

各防水ケースのUVロス特性 (MK350)

なんか粗い気がするし、420-430nmあたりに不可解な凹みが。。。笑
はい、実はこの手の検証にはMK350は向きません(汗)
なので、こういうのは高精細な分解能を持つLR1にお任せください♪

まず、基準光源5000Kハロゲンのスペクトルです。

ベース光源 5000Kハロゲン (LR1)

* MK350に比べ長波長側の感度が低いのはLR1のUV仕様の特性です

そして、各防水ケースの測定結果から算定したUVロス特性グラフがこちら。

各防水ケースのUVロス特性 (LR1)

おおお! 僕が元々使ってたDryCaseがダントツで優秀でした♪
(400nm以下がフラットで高推移なほどUVロスが少ない特性と言う事になります)
一方、年末に紹介したCASE FACTORYや和田さんが使用したモノは結構UVロスが大きいようです。ま、このデータがあればどれで測定しても補正は可能ですが、元々の測定結果がUVロスを含まないに越したことはないので、やはりDryCase社からiPhone6 PLUS用の大きな防水ケースがリリースされるのを待った方が良いかも知れません。ま、同じナイロン素材を使ってくれればの話だけど(汗)

尚、グラフの370nm以下の乱れは、そもそもハロゲン自体が370nm以下をほとんど含まないため、測定値に占めるノイズ成分が大きく、減衰率の算定結果に影響を与えるためです。いつかもっとUVA域を多く含む光源が確保できたらリベンジしてみます。
とりあえず今回はこれで我慢してください(笑)

あ。
でも、MK350持って海中スペクトル測る人なんて、ほとんどいないか(曝)

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