1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

ペルチェクーラー「小雪」復活!

この記事を含むタグの全記事リスト: 自作関連

去年のこの時期、Reef工房室で公開しているペルチェクーラー小雪が壊れてしまい、修理の目処もつかなかったため、昨年の夏は空調でなんとか凌ぎました。まあ、あの時はヤドカリしかいませんでしたけど。

故障の原因と言うのは、ペルチェ素子の冷却側に取り付ける水冷ヘッドに腐食による穴が開き、海水がにじみ出てくるというものでした。幸い、夏前のメンテナンスで発見できたため大事には至りませんでしたが、使用中だったら不味かったですね。

で、当時は掲示板でも水冷ヘッドの代替案を募りましたが、残念ながら僕の手に負えるものが見つからず、皆さんからのアイデアも生かせずじまい。。。で、そのまま夏を終えたという訳です。

しかし、今年はサンゴが入ってるのでなんとかせねば!と思い、先日から再びネットで情報を収集していました。すると、昨年あれだけ探して見つからなかった水冷ヘッドが、今年は少ないながらもいくつか出てくるではありませんか!?
うん。一年待った甲斐があったかな♪

最終的に、構造や材質、サイズ、価格等を検討した結果、オーム電機のペルチェ組立キットのオプションの水冷キット OCE-KT3-OP2 を取り寄せることにしました。実はこのキットは単体の製品ではなく、同社のペルチェ組立キット OCE-KT3 のオプションとして用意されているものです。きっと通販の担当者さんも「水冷キットだけ注文してどうするんだ?」と思われたことでしょう(笑)

さて、今回調達した水冷ヘッドをご紹介しましょう。

オーム電機ペルチェ組立キットOCE-KT3のオプション水冷キットOCE-KT3-OP2

旧水冷ヘッドはアルミダイキャストのボックスを流用してましたが、こちらはアルミの削りだしです。内部構造はU字型の水路を形成しただけのシンプルなものですが、この際文句は言えません。むしろ削りだしのメリットに期待してみました。熱効率とか耐久性とか。

水冷ジャケットのニップル交換

但し、純正のニップルが6mmφと細いため、事前にホームセンターで買っておいた8mmφのニップルに換装して使用しました。これでこれまでのホースにも合うし、通水抵抗も軽減できそうです。

水冷ヘッド換装後の小雪

組み込み完成の様子です。水冷ヘッドのサイズが変わったので、あちこち模様替えとなりました。

以下、連続試運転の水温変化推移です。室温は26℃~26.8℃。

水温変化 水5Lのみのバケツ 水5Lとペルチェクーラー
10分後 25.5℃ 25.2℃
20分後 25.8℃ 25.2℃
30分後 25.8℃ 24.6℃
40分後 25.8℃ 23.7℃
50分後 25.8℃ 23.8℃
1時間後 25.9℃ 23.0℃
1時間10分後 25.9℃ 23.1℃
1時間20分後 25.9℃ 22.9℃
1時間30分後 25.9℃ 22.8℃
1時間40分後 25.5℃ 22.7℃
1時間50分後 25.9℃ 22.1℃
2時間後 25.5℃ 22.0℃

冷却能力は5L時でマイナス3~4℃と言うところでしょうか。ほぼ旧水冷ヘッドと同等の能力となりました。構造のメリットとデメリットがうまく相殺された感じかしら(汗)
ま、これで安心してお出かけできます♪

今回の作業の詳細はReef工房室のペルチェクーラーのページへ追記してあります。
参考になれば♪

こちらのエントリーもどうぞ♪

マグネシウム添加、そして本命のカルシウムは?

この記事を含むタグの全記事リスト: 水質コントロール

あれだけカルシウムに翻弄されていた水槽が、人工海水の銘柄を変えて以来、カルクワッサーもせずに450ppmを軽くキープ出来ています。なんだったんだ。。。
ちなみに海水はテトラのマリンソルトプロからリーフクリスタルに変更したのですが、テトラの名誉のために言えば、最後の最後に別の10Lパックを開封して測ったら、なぜかその時はカルシウムは満足な値が得られました。ま、余計に混乱させられた訳ですけど(苦笑)
で、結果オーライなので、この件はこれでおしまい♪

さて、昨日の硫酸マグネシウム添加の計算方法で、スーリンから合格を貰ったので早速実践してみました。添加方法はスーリンから教わった楽チンな方法で、水槽から適当に海水を汲んで硫酸マグネシウムを溶解させ、それを水槽に戻す方法です。カルクワッサーの手順はいつもの通り。

目標値は、マグネシウム60ppmアップ、カルシウムは18ppmアップです。そのためには僕の5L水槽の場合、3gの硫酸マグネシウムと100ccの飽和石灰水の添加が必要です。計算方法は昨日の記事を参照のこと。これを定期的あるいは必要に応じて水槽へ添加していきたいと思います。

但し、初回の今回は測定しやすいようにマグネシウムだけ100ppmアップを目指すべく、5gの硫酸マグネシウムを添加してみる事にしました。また、マグネシウムが低いとカルシウムが溶解しにくいと言うことなので、少しでも効率を狙うべく、先にマグネシウムを溶かしてからのカルクワッサーとしました。

まず、事前に水槽のマグネシウム濃度を測定しました。結果は1100ppmでした。これでも十分嬉しい♪ だって迷走中は900ちょいでしたから・・・汗

次に、小さなカップで水槽の海水を適量掬います。硫酸マグネシウムは100ccの真水に36g程度(3600ppm)溶けるので、既にマグネシウムが1000ppm程度の海水と言えども、やはり100ccもあれば5gの硫酸マグネシウムくらい楽に溶けるようです。案の定、カップに溶かしてグルグルしてたら全部綺麗に溶けました。で、それを水槽にそよそよと注ぎました。

その後、30分待ってから、水槽のマグネシウム濃度を再度測定してみました。で、結果はピッタリ1200ppm♪ おぉぉ!計算通りで大感動です!
ちなみに僕の水槽は5Lなので余り時間をおく必要は無いと思うけど、普通の水槽だったらもう少し時間をおいてから測ると良いでしょう。水槽にマグネシウムが行き届いた頃を見計らって測定してみてください。

続いて、カルシウム濃度を測定しました。結果は465ppm

次にカルクワッサーを水槽へ100cc添加しました。こちらは点滴でゆっくりと。

点滴終了後30分待ってから再度カルシウムを測定。結果は475ppm。ん。測るタイミングが早かったか? あるいは半分ほど沈殿しちゃったかな? あるいは試薬の比色ミスか? はたまた石灰水が飽和してなかったか?
ま、10ppmの上昇でも超嬉しい! だって今までは毎日添加してても毎日350ppmでしたから(汗)

5L水槽への添加テスト マグネシウム濃度 カルシウム濃度
添加前 1100ppm -
硫酸マグネシウム5g添加後 1200ppm 465ppm
カルクワッサー100cc添加後 - 475ppm

ま、なんにしても、今までとは違い、今回はカルクワッサーによってカルシウムがきちんと上昇してくれました♪
・・・て、当たり前のことと思われるでしょうが、僕もまさかこんなことで悩むなんて思ってもみなかったので。。。

以上、今回は検証の精度としてはいまいちですが、とりあえずマグネシウムって大切!と理解することとしました♪
皆さんもカルシウムでお悩みの際は、マグネシウムにも目を向けてみてください。

・・・でもリアクター+アラゴナイトあたりなら悩み自体出てこないのかな。
いや、そもそも水道水とテトラの海水でサンゴ飼おうとしてたのが問題か(汗)
まあ、良い体験になりました。

こちらのエントリーもどうぞ♪

MgSO4によるマグネシウム添加

この記事を含むタグの全記事リスト: 水質コントロール

薬局に注文しておいた硫酸マグネシウムが届きました。

硫酸マグネシウム

和光純薬工業の硫酸マグネシウム七水和物で、特級99.5%です。1,050円でした。
化学記号はMgSO4・7H2Oで、分子量は246.48です。
見た目は味の素(笑)
舐めると、何とも言えない苦味がありました。苦味と言うか、渋苦いと言う感じかな。
ちなみに便秘に良いそうです。緩くなるとか。

で、これを添加して水槽のマグネシウム濃度を上げたいのですが、ご存知の通り、僕は化学が超苦手で、スイヘイリーベの呪文しか知りません。しかも意味も知らず♪
が、さすがに訳も判らず薬品をいじるのは怖いので、ちょっとお勉強してみましたよ。
化学の本なんて20年以上ぶりに読みました。当時もほとんど開かなかったけど。。。
実は先日、以前からも光合成色素のスペクトル吸収図の引用等で贔屓にしているフォトサイエンスと言うシリーズの化学版を本屋さんで見つけました。僕のような素人でも非常に判りやすいお気に入りのシリーズです。数研出版の「視覚でとらえるフォトサイエンス化学図鑑」と言うもので、価格は850円。こんなに詳しくて写真がてんこ盛りで、しかも千円でお釣りが来るなんて、信じられます?
ちなみに同シリーズの生物図鑑もお勧めです。こちらは880円。安いでしょ?
すっかり数研出版のファンです♪

さて、話を戻して、このお勉強の成果を疲労もとい披露しましょう。
間違ってたらご教示くださると嬉しいです。
以下、カルクワッサーとマグネシウムの添加に関する分量の計算方法です。

水酸化カルシウム - Ca(OH)2

カルクワッサーは基本的に飽和石灰水の上澄みを添加するので分量はあまり気にしてませんが、厳密に溶解度を意識すれば沈殿量が減らせて経済的かも?

溶解度 : 0.170% (25℃) - 1Lに1.7gの水酸化カルシウムが溶解可能

●原子量
カルシウム : 40.1
      酸素 : 32.0 (16.0×2)
      水素 :  2.0 (1.0×2)

●飽和石灰水1Lのカルシウム濃度
1.7 * 40.1 / ( 40.1 + 32 + 2 ) ≒ 0.92g = 920ppm

●100Lに溶液1L入れると
920 / 101 = 9.1ppm↑

●5Lに溶液100cc入れると
0.17 * 40.1 / ( 40.1 + 32 + 2 ) ≒ 0.092g = 92ppm
92 / 5.1 = 18ppm↑

僕の5L水槽ではいつも100ccのカルクワッサーを添加しているので、計算上は18ppm上昇している計算になります。はず。

硫酸マグネシウム7水和物(99.5%) - MgSO4・7H2O = 246.48

硫酸マグネシウムは溶解度が高く、飽和させると量が多すぎるので、きちんと分量を割り出して添加する必要があります。

溶解度 : 36.4% (25℃) - 1Lに364gの硫酸マグネシウムが溶解可能

●原子量 (分子量 = 246.48)
マグネシウム :  24.3
        硫黄 :  32.1
        酸素 :  64.0 (16.0×4)
        水素 :  14.1 (1.0×2×7)
       酸素 : 112.0 (16.0×7)

●飽和硫酸マグネシウム溶液のマグネシウム濃度
364 * 24.3 / 246.48 ≒ 35.883g = 35883ppm

●100Lに溶液1L入れると
35883 / 101 = 355.3ppm↑

●100ppmの溶液を5L作るには (5L水槽を100ppm上昇させるには)
a) 100 / 35883 * 364 * 5 = 5.072g ≒ 5g
b) 100 * 246.48 / 24.3 * 5 = 5071.6mg ≒ 5g
原液を100ccとする場合
a) 100 / 35883 * 364 * 4.9 = 4.97g ≒ 5g
b) 100 * 246.48 / 24.3 * 4.9 = 4970.2mg ≒ 5g
100ccに5gを溶く (100ccには36.4gまで溶解可能)

●カルシウムの3倍として約60ppm上昇させるなら
5 * 60 / 100 = 3g

カルクワッサーに合わせて約3倍のマグネシウム濃度の添加を目指したいので、とりあえず100ccに3gの硫酸マグネシウムを溶いて添加しようと思います。

ちなみにマグネシウムと同時に硫酸イオンも増加しますが、海水の成分のうちマグネシウムが1,300ppm、硫黄が930ppmとのことなので、この添加でも比率的に似たような上昇(厳密には硫黄がちょい多めになるけど)になるので特に問題は無いかしら?と考えてます。海草に吸収されたり、大気に放出されたり(磯の香り)しますから。
海草が増えたら良いなぁ♪

ところで、塩化マグネシウムでも良さそうなんですが、やはり塩酸負荷と言うトラウマがあるので、ちょっと億劫です。この場合はナトリウムも足す必要があると記憶しています。(昔スーリンに塩化カルシウムで教わったことを適用するならば)
で、どんどん塩辛くなっていく=塩分濃度が上昇していく、と。(塩化ナトリウム↑)

5L水槽に対するカルシウムとマグネシウムの添加量

飽和石灰水100cc + 硫酸マグネシウム3g → Ca:18ppm↑ + Mg:60ppm↑

もちろん、個別に添加します。混ぜたらどうなるか判らないので(汗)
化学式が判れば、色んな添加剤の混合液とか作れるんだろうなぁ。。。

さて、本当にコレで合ってるのかしら?
もっと勉強して、化学式も判るようになりたい♪

参考文献:
視覚でとらえるフォトサイエンス化学図鑑/数研出版

こちらのエントリーもどうぞ♪