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結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

茶ゴケの正体:其の一

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こないだから茶ゴケを観察しようと思ってスライドガラスを水槽に沈めているのですが、一向に付着する気配がありません。水流が当たらない方が良いかと思ってガードも設けているのですが、それがいけないのかしら。。。

ちなみに前回の換水とガラス面の掃除から約1ヶ月ほど経ち、最近ようやくガラス面に茶ゴケが増えてきました。水道水使ってんだから、もっとガンガン付けば良いのに(笑)

でも、その茶ゴケの付き方がちょっと変な気がします?

20090707-tank

20090707-bacillariophyceae

大抵の場合、茶ゴケってガラス面全体(あるいは広い範囲で)を覆うように膜が徐々に濃くなっていきません?
今回のは石灰藻みたいに点々と発生してます。
まさかシアノバクテリアかな?とも思って指の腹で軽く擦ってみたけど剥がれる様子がないので、やっぱり茶ゴケのようです。
ひとつひとつが濃いからそう見えるのかなぁ。。。

ちなみにこのガラス面の茶ゴケの丸いブロックひとつひとつをよく見ると、すこし特徴が見えます。それは、どの茶ゴケも、水流の方向に対して より成長と拡大を広げ、反対側は拡大せずに薄くぼやけていると言う点です。

上の水槽全体の写真では、中央奥からポンプの水流が前面のガラスにあたり、左右に拡散する流れが発生しています。次のコケの写真は水槽の前面右側のモノですが、左から来る水流に対してコケの左反面がよく成長し、右反面は薄くて成長してません。試しに水槽の前面左側の茶ゴケを見ると、右側とは反対の向きで成長していました。

うーん。茶ゴケをこんなに見つめたのは初めてだぁ~(笑)

さて、本当はスライドガラスに茶ゴケが付着してから検鏡したかったのですが、まだまだ先が長そうなので、とりあえず現状のガラス面の茶ゴケを少し擦り落として顕微鏡で見てみることにしました。
後日、スライドガラスに茶ゴケが栽培できたら、また其の二を書きたいと思います。

では、生物顕微鏡(おもちゃ)×1200倍のデジカメ写真です。

20090707-cyclotella

だからイヤだったのよ!
何写ってるか訳わかんないじゃん(汗)
付着状態を壊さず観察すれば、もうちょっとマシかなと思ってたのにー!

ちなみにこれでも辛うじて粒々が写ってるの判ります?
これが茶ゴケの細胞かな?と思います。
サイズは推定で約10μm前後かな。

これじゃ、珪藻どころかゴミとも区別が付きません(汗)が、とりあえず円形型の珪藻を保育社の日本海洋プランクトン図鑑で探してみたところ、サイズ的にも、タラシオシラ属/Thalassiosira とかキクロテラ属/Cyclotella あたりが近いかな?と思いました。その他、ネットで探すと、ステファノディスクス属/Stephanodiscus と言う珪藻も似ているように見えます。

いずれにしても、せめてもう少し精度の高い顕微鏡がないと、これ以上の観察は無理っぽいですねぇ。。。て言うか、10μmは無謀だぁ。。。

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新称:ブチヒメヨコバサミ属

この記事を含むタグの全記事リスト: ヤドカリ情報

千葉の駒井先生にお願いしてあった新称:ブチヒメヨコバサミ属の論文が届いたので、これを基に超ヤドカリ図鑑を更新しました。

ブチヒメヨコバサミ属/ Stratiotes Thomson, 1899 - 新称

  • ブチヒメヨコバサミ/Stratiotes japonicus (Miyake, 1961) - 旧ヒメヨコバサミ属
  • リングヒメヨコバサミ/Stratiotes taenia (Komai, 1999) - 旧ヒメヨコバサミ属
  • クロトゲヒメヨコバサミ/Stratiotes nigroapiculus Komai, 2009 - 新種
  • アカオビヒメヨコバサミ/Stratiotes orbis Komai, 2009 - 新種

クロトゲヒメヨコバサミ(新種)はブチヒメヨコバサミによく似ています。でも見た目はそっくりだけど、ブチヒメのように眼柄は青くならないみたい。北海道から房総あたりまで分布しているようです。
ちなみに論文に記載された標本データを見ると、クロトゲヒメヨコバサミは北に行くほど潮下帯から観察できそうです。相模や房総あたりだと水深100Mとか深くなるけど。但し、今のところ日本海側での確認は無さそうです。

アカオビヒメヨコバサミ(新種)はリングヒメヨコバサミによく似ています。まだどちらも現物を見たことがありませんが、とりあえず眼柄の色彩(リングヒメヨコバサミは赤く、アカオビヒメヨコバサミは白くて基部が橙色)が違うかな。アカオビヒメヨコバサミは相模湾から伊豆諸島あたりで見つかっていて、リングヒメヨコバサミは小笠原諸島から記録されているようです。どちらも標本写真では全身が橙色っぽい感じ。

両種群とも、素人目に見ても、眼柄や第二触角の色彩の違いで、なんとか判別はできそうです。でもブチヒメヨコバサミ以外は結構深場に生息する種のようなので、多分見かけることはないかな(汗)

ちなみにブチヒメヨコバサミとリングヒメヨコバサミは属が変わったので、学名のオーサーネームに括弧が付きます。お気を付けあそばせ。

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ヒゲゴケ抑制実験報告 其の一

この記事を含むタグの全記事リスト: ヒゲゴケ処理実験

先日、シュリンプさんや横海老屋さんから各プランクトンを購入・導入して、約2週間が経過しました。またその間、僕自身もワラワラ採集に勤しみ、何度か水槽に導入してきました。

今回のワラワラ追加の第一の目標は、最近手が付けられなくなったヒゲゴケの抑制です。

リンは測ってませんが、現在の水槽では数匹のヤドカリを維持しているだけで、給餌も週に1~2度もあるかないかの状態ですので、恐らくほぼ皆無と見ています。硝酸もホビー試薬でゼロを推移しています。

しかしそれでもヒゲゴケは出ます。
多くの場合、皆さんは栄養塩ばかりに目を奪われがちだと思いますが、実はヒゲゴケ蔓延の一番の原因は、栄養塩以上に「天敵の欠如」に起因していると僕は考えています。ですから、比較的低栄養塩の水槽でも、ヒゲゴケの蔓延と言うのは、ある程度時間が経過した水槽では見られがちな現象なのです。ヒゲゴケに限らず、単一種の蔓延の原因は、ほぼこのような抑制要因の欠落が関係していると思われます。

例えば昔から、ライブロックを追加したらヒゲゴケが消えていった、と言う現象も良く体験されてきたと思いますが、実はこの微生物源の追加により、水槽に欠如していたコケの天敵が持ち込まれ、それが作用したと考えられます。

勿論、コケの天敵は微生物に限りません。草食魚やウニ、ヤドカリなんかも非常に有効です。彼らの日々の気質走査により、コケは育つ間もなく抑制されるでしょう。しかし、全ての種のヤドカリが岩を磨くわけではなく、ましてやワラワラのような規模で実装することはとても困難です。

化学の実験のような面白味には欠けるかも知れませんけど、水槽に負担を与えない仕組みとしては、僕は安心して勧められる方法だと思います。
特に現在リフジウムを設置されている方は、その本来の機能をより強化すべく、もっとワラワラに目を向けて欲しいなと思います。

長くなりましたが、結果報告です。

ヒゲゴケだらけの水槽

写真は6/13現在のもので、判りづらいですが、ヒゲゴケ天国になったライブロックと、砂にまでヒゲゴケが広がっていた状態です。この実験のために敢えてヒゲゴケを栽培しておきました(嘘)

今回はとりあえず、ライブロックと砂の一部を取り出し、ここへワラワラを追加しました。併せてガラス面を掃除して、コケの取れない砂はなるべく砂に埋めるか砂を掛けるようにして、人為的にも抑制を加えました。(時間が掛かるので、予め可能な限りヒゲゴケは駆除してからワラワラを投入すると吉です)

ヒゲゴケの抑制された水槽

これが今日(6/30)時点での状態です。砂に残っていたヒゲゴケは、綺麗サッパリ消滅しました。とりあえずワラワラ追加によるヒゲゴケ抑制は大成功です。(ま、判ってはいましたがネタとして公開したかったので)

実は以前からも気になる度にヒゲゴケを刈ったり砂に埋めたりしてましたが、すぐに再発して手が付けられませんでした。これは、どんなに低栄養だろうと、山羊がいなければ雑草は伸びると言う良い例です。
今後もなるべくワラワラを維持するよう、注意していこうと改めて思いました。

尚、ライブロックの方は、現在もバケツでキュアリングしながら、併せて大量のワラワラを投入してヒゲゴケの消滅を期待しています。かなり分解されて半分くらいはデトリタス化して沈殿しましたが、まだ半分は残っている状態です。また、ワラワラも目に見えて減少しているようなので、何度か追加した方が良さそうです。ちなみにこのバケツはエアレーションと室内光のみで回しています。光が弱いことも、ヒゲゴケの消滅に繋がると考えています。
このバケツの方はまた結果を報告しようと思います。

みなさんもまだワラワラの恩恵を体験していない人は、どうか一度騙されたと思ってお試しください。
ワラワラの販売ショップは、ワラワランド微生物の購入のページでご紹介しています。
また、これからは良い季節なので、是非海に行ってワラワラをゲットしてみてください。

おまけ

こないだ採集してきた砂依存型のヨコエビの画像です。
どこにいるでしょう? 判るかな?

20090630-sand-upper-gammaridea

こうすると判るかも(笑)

20090630-sand-side-gammaridea

砂で半身浴しながら4本の触手でアンテナを張ってるのがそうです。
この子らはメチャンコ砂を撹拌してくれます。

今度はスナホリガニも採ってこよう♪

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