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スプリング社UV 370nm搭載LEDスポット検証

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先日、こんなものを入手しました。

スプリング - グランクリエイト UV370nm入りモデル

昔、LED素子のブランド偽装で世間を騒がせたスプリング社のLED製品です。
当時の記事はこちらを参考にどうぞ。

  1. 告発?警告?まずは武士の情けから - 2010/11/21 (コメント欄に注目)
  2. 常識を得るのが難しい時代… - 2010/11/29
  3. 詐欺LED続報 - 2010/12/13

あれから3年。。。
少しは改心したのか、あるいは相変わらずなのか。。。
と言う訳で、ちょうど良いので抜き打ち検査を実施しました。

ちなみに、当時は社名を伏せての告発でしたが、今回は前科があるので社名・製品名を明記して話を進めていきます。結果が悪ければ自業自得ですが、結果が吉なら名誉挽回にもなるはずです。要は、悪いことさえしていなければ済む話なのですから。。。

グラクリ抜き打ち検査:品質チェック・・・

今回入手できたのは、グランクリエイト 青2白2U2UN2と言う製品。

型番が言いづらいので、以降、暫定的にGC370と呼びます。

なんと! このGC370には日亜化学のUV素子が採用されてるとのこと!?
↓こちらがスプリングのページのキャプチャです。

スプリング宣伝文句のキャプチャー

マジかっ!?

と言う事は、、、

このグランクリエイトはLED素子1ヶあたり2W駆動(実質420mA駆動)してるので、それに見合う日亜のUV素子というと、、、
唯一これしかありません↓

日亜化学 UV 365nm NCSU033B 500mA

日亜化学 UV 365nm LED

これ以外は、波長も異なるし、2W駆動ができません。

でもこれ、流通価格は1ヶ1万円ほどしてしてるはずですが。。。汗
しかも4ヶも搭載してるらしいので、どー考えても素子代だけで4万以上に。。。大汗
しかし、このGC370の価格は\9,900円???

こ れ は あ や し い 。。。

まあ、とりあえず、順番に見ていきましょう。
まずは、LED素子の発色を見てみます。

GC370 - 発色

左は製品そのままの状態、右は本体からコリメートレンズを外してLEDだけの状態。
ほほお、、、確かに中央の4ヶはUV 400nmよりも暗くて、如何にもUVっぽい印象。
では、LED素子ご開帳~♪

GC370 - LED基板

中央の4ヶが、スプリングが主張している日亜製370nmのLED素子です。
賢明な読者の皆さんなら、この時点で茶~吹き出してるはずです。

では、さらにズームアップ!

GC370 - 採用LED

ま、他はどーでも良いんですが、とりあえず370nmは完全にアウトでした。
だってこれ、Epileds社チップを使ったただのノーブランド素子やん!

加えて、今回は日亜化学の知財部の方にも判断を仰ぎました。
その結果、画像判定ではありますが「弊社製品ではない」と明確にご回答を頂きました。
前回は武士の情けで逃げ道を残しましたが、今回は再犯なので厳しくいきました。

と言う訳で、、、

スプリング、またまたアウト!

これは直ちに販売中止と自主回収が必要なレベルですね。
どのみち400nm素子も未だに焦げちゃうプラスチックレンズ製だったし、一石二鳥?
まったく、、、せっかく与えたチャンスを棒に振って、また同じ過ちを犯すなんて。。。

これ売ってたショップさんには気の毒だけど、どうか今後の対応に尽力をお願いします。
まあ、でも少しでも早く気付いて良かったです。
ただ、取扱店舗が少なければ僕から一軒ずつ通知しようかとも思ったけど、検索したらかなり多くのアクアショップがヒットしたので、とても対応しきれません。
と言う訳で、何か質問やアドバイスが必要なショップさんはお気軽にメールください。
必要であれば、対応後に「安心できるショップ」として広報にも協力させて頂きます。
とにかく、詐欺行為への荷担はよくないですし、日亜化学も厳しい企業ですからね。

グラクリ抜き打ち検査:性能チェック・・・

ただ、我々消費者から見て、

  • 別に日亜じゃ無くても波長が得られるなら・・・
  • むしろ安くて波長が得られるなら大歓迎♪

なんて考える方がいらっしゃるのも事実。
もちろん違法行為はダメですが、初めからノーブランドを謳っていればあるいは???

では、ユーザーの目線からも見てみましょう。

本当に波長が出ているのか?

まずはLED素子の個別スペクトルを測定してみました。

GC370 - 採用LED 個別スペクトル

あらやだ。。。370nmは、実は385nmでした。。。ま、そんなもんか。
しかし、唯一褒めるなら、この素子に限り、シリコン樹脂レンズ採用LED素子でした。

400nmは、一応ほぼ400nm出てました♪
但し、プラスチックレンズなのでいずれ焦げる可能性が高いです。。。残念。

その他、青は465nmの普通の青(濃いRoyalBlueではない)でした。
白も普通のクールホワイトかな。。。

ここでまた考えます。

  • 別に370nmじゃなくても、385nmが入ってるだけでも有益じゃね?

そうですよね。。。
385nmだけでも、他の製品ではなかなか得られない有り難い波長と言えます。

そこで、再び製品スペクトルに話を戻します。製品スペクトルとは、買ったままの状態で測定したスペクトルです。その後、本体からコリメートレンズを外してLED素子だけの状態でも測定し、それらを比較してみました。

GC370 - スペクトル

判りますか?

LED素子だけの状態では385nmが元気よく出てますが、本体にコリメートレンズを装着した「買ったままの状態」では、385nmがまったく出てません!?

何故でしょうか?
考えられる原因はただ一つ。
本体に採用しているコリメートレンズが、ごく普通のコリメートレンズだからです。
ガラス一枚さえ透過ロスを伴うUV波長にとって、UV対応でない普通のコリメートレンズの存在は、むしろUVカットフィルターとして働いてしまいます。辛うじて可視光線でもある400nmならいざ知らず、完全にUV-Aである385nmや370nmを通したいなら、UV対応レンズを使わないと製品の意味を成さないと言う大失敗を招きます。

まさに上図の通り、
せっかく385nmを搭載したのに、
その波長はレンズを通過できず、
まったく照射できてない。。。

なんとも、お粗末な話でした。

もし、過去にこの製品を使ってサンゴへの370nmの効果を実験された方で、「なんだよ、400nmと変わんねーじゃねーかよ」と憤慨されていた方がいましたら、その検証精度は保証されていなかったことをご理解ください。実は370nmは愚か385nmすらほとんど照射できていませんでしたから。ご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。悪いのはスプリングですが、もっと早くに調査すべきだったと、僕からもお詫びしておきます。

グラクリ抜き打ち検査:最後に、、、

まとめると、

  • 3年前のCREE偽装に続き、今度は日亜偽装発覚
  • 370nmを謳いつつ実は385nm
  • 波長スキルの乏しいお粗末な設計
  • その他、相変わらず光漏れの筐体使用、焦げる400nm使用、など

スプリングは製品改善以前に、まずは会社としての体質改善が急務ですね。
しかし、この人を改心させるのは・・・難しそうだなぁ。。。
だって、スキル不足は単に努力とコストの問題だけど、詐欺行為は犯罪ですからね。
最近では、つい先日のイオンの米偽装問題もそうですが、中国米を国産米と偽装したり、加工用米を食用米に混入させたり、やはりこういう悪質な業者は常に抜け道を探っていて、何度でも再犯を繰り返すんでしょうね。。。
スプリングもそれと同じ部類と思われても仕方ありません。

僕だって本当はなるべく関わりたくないです。。。でも、おかしな製品がある以上、誰かがそれを暴いていかないと、この業界はどんどんダメになっていきます。その結果、例え僕への逆風が強くなろうとも、それで済むなら安いモノです。
でも中には、失敗を教訓に製品の改善に尽力されている会社(私感ですがクリスタルアクア、B.R.S等)もあり、そうやって結果的にユーザーの利益に還元されているケースを見ると、この自称1023の使命は決して間違いでは無かったと確信できます。だから今後も喜んで憎まれ役を邁進していけそうです。

いずれ本製品については、販売店から回収のお知らせが来るかも知れません。
そうなったら、愛用されていた方には本当に申し訳ありません。
でも、PSEが無い事も考慮すると、どう考えても返品が賢い選択となるでしょうね。。。
大事に至る前で本当に良かった。

その他、不明な点はお尋ねください。
調べて欲しいリクエストも受付中です♪

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串本遠征2013年9月:サンゴ篇

この記事を含むタグの全記事リスト: スペクトル 南紀 海洋雑学

今回は、前回の串本で収集してきた情報をまとめ、

自然の海から学ぼう~串本のサンゴ編

をお送りします。
本当はもっと良い写真が撮れたら良かったけど、とにかく透明度が悪くて大した写真が撮れなかったので、軽い内容&今さら感でのお届けになりますが、どうぞご容赦くだされ。

タイドプールのサンゴ:水深0-50cm

タイドプールには超強力な太陽光をこれでもかと浴びて生活するサンゴが多数♪
例えばハマサンゴの仲間があちこちにマイクロアトールを形成しています。
大抵は地味な茶色系ですが、中には↓こんな綺麗な蛍光シアン&グリーンも♪

蛍光グリーンのハマサンゴかな?

水深0Mから分布を開始するとは、グリーン蛍光タンパクはなんて万能なんでしょう♪
あるいは透明度や緯度も関係があるのかしら? ら?

そして、より海水の往来の激しい水路には、それを好むサンゴが。。。
その代表とも言えるのがハナヤサイです♪

小さなハナヤサイ♪

気付かなかったけど、偶然右端にユビワサンゴヤドカリも特別出演してました(曝)
そう、ハナヤサイもユビワサンゴヤドカリも激流が大好きなんです♪

ちなみに、このハナヤサイは干潮時に水深10cm以下になりそうな水路にいました。
水上から見るとこんな構図です↓

水路のハナヤサイの位置

とは言え、潮通しの激しい水路と言われてもなかなかピンと来ませんよね?
そこで、動画も撮ってきました♪

こんな状況でも平気でポリプ出してんだから、如何に水流に強いかが伺えますね。
コレに比べたら、水槽なんて所詮ため池か。。。汗

穏やかな湾のサンゴ:水深1-2M

タイドプールの次は、比較的流れの穏やかな湾へ潜ってみましょう。。。
まずは水深1-2M程度のスギノキゾーン。

おっと、グリーン蛍光スギノキは生え替わり間もない新芽のようです???
一方、茶色スギノキは野放し状態で伸び伸びと生え放題のようです!
・・・グリーン蛍光スギノキの身に一体何がっ!?

スギノキミドリイシ畑

スギノキミドリイシ畑2

どー見ても個人の伐採量じゃ無いね。。。
もしも蛍光グリーンのスギノキが流通してるなんて話があったら教えてくださいね。

ところで、スギノキの根元をよく見ると、、、

ミドリイシの根元は剥げるのがデフォです♪2

ミドリイシの根元は剥げるのがデフォです♪

あらら白化、、、ではなく、共肉が剥げて白骨化しています。
はい、実は光の回らない部位、そして有光部位から遠い根元の部位ほど、大抵このように白骨化しているのがデフォだったりします。

だって、考えてもみてくださいよ。
サンゴが剥げずに生き続けたら、いつまで経ってもサンゴの島は形成されませんよ。
↓ほら、サンゴの下には、歴代の白骨サンゴが連ねているんです。。。だから島になる♪

ミドリイシの根元は剥げるのがデフォです♪3

水槽内でも、どうしても光の当たらない&有光部位から離れた部位は、ある程度は剥げても仕方ないんですよね。。。それがイヤなら、サンゴをあまり密集させない、水面全体を照らせるように多灯する、など工夫が必要です。

穏やかな湾のサンゴ:水深3-4M

そして串本の場合、水深3-4Mくらいになると、蛍光オレンジや蛍光レッドのサンゴも増えてきます。やはり海水の透明度や緯度による太陽光線のスペクトル分布にも影響していると思われます。

↓これはキクメイシかな。

蛍光オレンジのキクメイシ

蛍光レッドのキクメイシ

この水深にはどんな光量がどんなスペクトルで届いているのでしょう?
それは先月測定した串本の水深スペクトルを参考にしてください。共に同じ湾です。
サンゴの気持ちになれば、いろんな事に気付いたり、見えてきたりしますよ♪

* 一部の写真はだに兄からお借りしました

この記事のまとめ

およそ以下のようなことが読み取れたかなと思います。

サンゴの色彩

水深、太陽の位置、緯度、海水の透明度

光量とスペクトルに影響

サンゴの色彩(蛍光タンパク、色素タンパク)に影響

サンゴの白化回避

比較的浅場の水流強度

水面の揺らぎによる光強度の分散、海水交換とサンゴの冷却に寄与

強光障害の低減(白化予防)と光の回り込み(拡散)効果
熱の発散に関与するアンテナ色素(カロテノイド等)の効率アップ(白化予防)

サンゴの影の部分の斃死

サンゴの密集状態、光源の面積不足、単に光量不足

光の回り込み不足、光合成エネルギーの伝達不足

サンゴの部分斃死(根元の白骨化等)

いつもの見慣れた当たり前の光景に、ふと立ち止まって改めて意味を考えてみると、見過ごしてきた何かが見えてきますね。いやぁ、サンゴ飼育って本当に奥が深い。僕も今回そう強く感じました。

次回、機会があれば、もっと透明度の良い、もっとサンゴの種類の豊富な、
沖縄で調べてみたいと思います~♪
どこかに調査費用落ちてないかなぁ~曝

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月光スペクトル

この記事を含むタグの全記事リスト: スペクトル

せっかく42倍ズームのコンデジを買うたので、念願の月面着陸~♪

月

どう?
悪い子は、月に代わってお仕置きよん♪

さて、無難に欲求が満たされた(笑)ので、本命の作業に取りかかります。
そう、お月様のスペクトル確保ですっ!!!

考えてみたら、月明かりなんて1ルクスも無いんだよね。。。
じゃあ、1ルクスでスペクトル測ったらどーなるのか?
こーなります↓ (by MK350)

スペクトル測定テスト:1ルクス

暗すぎて測れません。。。汗

で、悪戦苦闘の末、ようやくお月様のスペクトルをキャッチしました!
手持ちのテレコンレンズとマクロレンズを組み合わせて強引に集光しました(笑)

月光スペクトル

上図のように、なんとか青寄り赤寄り5パターンを採取できました! (by LR1)

そしてコレを見たら、過去の月光測定結果は間違いだったことが発覚(汗)
実は以前、LI-1800で月光を測定して貰ったんですが、その時のスペクトルは今回のモノとは全然違ってました。多分、やはり暗すぎて感度が確保できてなかったのでしょう。。。今思えば、街頭の灯りやらなんやら色々混じっていた感じ(汗)
なので、今回の結果が正解です。

太陽光と比べるとこんな感じ↓

月光スペクトルと太陽光

ほほお。。。
流石に赤や赤外線はやや減衰してるけど、概ね太陽光に近いですね。
そのくせ、UV~青帯は太陽光に忠実にトレースされてます。

でも、このままじゃあくまでも水深0M時の月光スペクトルにすぎません。
なので、前回測定した串本の水深スペクトルを元に、水深0M→水深3M時の太陽光の減衰率を求め、それを今回の月光に割り当ててみます。

まず、串本での水深0Mと水深3Mの比較スペクトルがこちら↓

水深スペクトル:太陽 0-3M

ここから減衰率を算定(破線)し、月光へ割り当てた結果がこちら↓(水色太線)

水深スペクトルシミュレーション:月光 -3M

そうして完成した月光の水深3M時のスペクトルシミュレーション結果がこちら↓

水深スペクトル:月光 0-3M

串本の水深3M前後のサンゴ達は、こんな月光スペクトルを浴びてるようです♪
日中のスペクトルに比べ、より赤が削られ、青寄りのスペクトルですね。
さらに水深5M、水深10Mと進めば、より大きく青主体となるでしょう。
かと言って、400-420nmは日中と遜色ない割合を占めています。
イヒッ♪

以上、夜間のサンゴの生理の維持・促進のお役に立てば♪

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