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LEDのチカチカの原因って何?

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皆さん、教えてください。
たまに、「LEDランプで目がチカチカする」と聞くんですが、何故?
そしてそれは目の悪い僕でも体感できますか?(曝)

という訳で、なんとなくそれらしい実験をしてみただわ。
使ったのは、Grassy LeDio 7 PearlWhite 。
このランプは、中心の青素子以外、すべて白素子になります。青×1 + 白×6。

比較内容は以下の通り。

  • 素子のみ(レンズ無し)
  • 拡散60°レンズ
  • フロスト90°レンズ
  • クリア30°レンズ
  • クリア60°レンズ(純正)

ちなみにフロスト90°レンズは企業秘密です(汗)

用意したLEDとレンズ各種

その前に、チカチカする原因のひとつに考えられる色収差について調べてみました。

色収差とは? - Wiki

イメージとしてはこんな感じ。人工的に作った色収差です。

色収差

ここまでひどいと、僕でもチカチカするんだぜ♪

でもこれ、例えばレンズ越しに撮影されたものなら、確かにこの要素はあるよね?
あるいは、水槽を斜めから観察すると、目視でも似たような現象が体験できます。
でも、いくらLEDでも、普通に水槽見てても出ないよね?
出るなら目が色収差だったりして(笑)

さて、冗談は顔だけにして(笑)、早速各レンズのビーム比較から。
ちなみに今回のテストは、僕の中ではレンズ無しvs拡散60°レンズになってます。
それ以外はオマケ(苦笑)

レンズ無し レンズ無し まず、レンズ無しだと光が綺麗ですな~♪
コレだけ見ると、な~んもチカチカしない。
レンズ無し、やるじゃん♪
拡散60° 拡散60°レンズ 次に拡散60°レンズ。
こちらも綺麗にブレンドされてますね♪
柔らかな、優しい光です。
フロスト90° フロスト90゛レンズ ちょい黄色が分離してるけど、許せる範囲。
クリア30° 汎用30°レンズ き・汚い・・・。
黄色から青から分離しまくってます(汗)
チカチカは感じないけど。
ただ・・・汚いっ。
クリア60° クリア60°レンズ(純正)

で、次は別の角度から観察。
モデルはビクターのお犬様。
んで、その影も見てやろうと言う目論見です。
念のため、ランプとの距離25cmと50cmで撮影。

レンズ無し ランプ距離 25cm ランプ距離 50cm
レンズ無し 25cm レンズ無し 50cm
どちらも素子数の分だけ影がクッキリ出ますね。
まるで、ひとりエグザイル。
実はこれが目がチカチカする原因じゃないの?
しかも、露出を調整してるので判り難いですが、レンズ無しだと暗すぎる。
ランプを直視すりゃ明るいのは当然だけど、ものを照らすキャパは無い。
水面に浮かべて使うか。。。
拡散60° ランプ距離 25cm ランプ距離 50cm
拡散60° 25cm 拡散60° 50cm
拡散60°は影も上手くボケるので、エグザイルは気になりませんね。
やっぱ拡散60°レンズは最高だ~♪
フロスト90° ランプ距離 25cm ランプ距離 50cm
フロスト90° 25cm フロスト90° 50cm
レンズ無しと拡散60°の中間って感じ。
ちょい特殊なフロスト加工なので、改善の余地はありそう。
クリア30° ランプ距離 25cm ランプ距離 50cm
クリア30° 25cm クリア30° 50cm
クリア30°は、色収差は相変わらず目立ちますが、影が意外と柔らかい!?
拡散60°より良いかも?
もしかしてレンズによる集光って、やればやるほど影は相殺されていくのかも?
クリア60° ランプ距離 25cm ランプ距離 50cm
クリア60° 25cm クリア60° 50cm
クリア60°は・・・何やってもダメって感じ。。。汗

ちなみに、青×1、白×6なのに、なんで青い影が6つと白(黄)の影がひとつなの?という疑問があるかと思いますが、それは、よ~く考えてみてください。なぞなぞです(笑)

以上の結果から、LEDランプで目がチカチカするのは、影が多発したり、色が分離したり、あるいはそれらのコンボが原因じゃないかと思いました。

また、レンズ無しvs拡散60°レンズ対決は、僕的には文句無しで拡散60°レンズ!という感じになりました。色良し、影良し、照度良し、角度△。
ただ、90°レンズで拡散型作ったら最強なので、これは今後の課題です。

やっぱ、水槽向けLED照明にはレンズだよなぁ~♪
皆さんからのご意見、お待ちしております。

この記事の続き 完結篇 → LEDのチカチカは脳の混乱

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てぃだかんかん:もうひとつのエピソード

いやぁ、ちょっと外に出る用事があったので、少し足を伸ばして沖縄行って来ました。
スギノキブルーもたくさん生えてましたよ。
ヤドカリも少しばかり見つけました。
やっぱり沖縄は最高だ~♪

え?
や、・・・実は映画見てきただけなんですが(笑)

そう、あのナイナイの岡村さん主演の「てぃだかんかん」です。
実は僕は岡村さんの大ファンで、時間があれば夜な夜なYouTubeで動画を探したり。。。
ホントに彼はすごい芸人さんで、いつも感動を貰ってます。唯一尊敬している芸能人と言っても過言ではない。。。
今回の映画も一年前からすごく楽しみにしていて、先日4/24に遂に公開された訳ですが、なかなか時間が合わず、本日ようやく任務遂行となりました。

でも、ただ映画を見てきたということではなくて・・・。
そう、アクア業界人ならお判りだろうと思いますが、この映画のモデルは実在の人物で、今でも実際に沖縄でサンゴの養殖に従事するSea Seed 海の種の代表、そして元ヤドカリ隊隊長「こおらるオヤジ」こと、金城浩二さんなんですよ。

ん。待てよ。。。
こおらるオヤジで通じる人、どれくらい居るかな?

と言う訳で、今日は金城さんの当時のもうひとつの顔、ヤドカリ隊隊長こおらるオヤジの側面に、勝手に触れたいと思います(笑)

あれはちょうど、金城さんがサンゴの養殖を始める少し前だったかな。あるいは並行していた時期。
映画にもその話題が若干出てくるんですが、当時はサンゴやヤドカリなんかを販売する「コーラルファームPPM」と言うショップを展開されていて、僕とは相互リンクからのお付き合いになります。

その頃の時代背景としては、ちょうどゼブラヤドカリが流通に乗り始め、PPMや宮古海水魚がしのぎを削っていた頃です。
特に金城さんがヤドカリにはまりだしてからは、毎日のように珍種が報告されていました。
お得意さんだけの秘密のページもあって、僕らヤドカリマニアは毎日楽しみにしていたものです。POEさんとか、だらちゃんとか。
そして、この時のヤドカリ開拓が、今のヤドカリブームの礎になったことは言うまでも無いでしょう。

今ではサンゴの移植活動に専念され、通販が無くなったことは僕らにとっては少し残念ではありますが、これからはサンゴの養殖を通じて何か応援できたら良いなと思います。

2003年当時、金城さんが送ってくれたヤドカリたちの中から一部をご紹介。
今でこそ見慣れた種になりましたが、当時は大興奮でした♪

PPMからのヤドカリ各種

それにしても、てぃだかんかん、良い映画でしたぁ。
娯楽映画なので脚色はあるんでしょうが、金城さんの波乱万丈の人生が少し垣間見えたように思います。
大変だったんでしょうねぇ。。。全然知りませんでした。
一時期は僕も毎月ん万もヤドカリを注文してたので、少しは役に立てたかな、とか(汗)
当時のPPMのサイト担当者が辞められた時も、画像ビューワを使わせて欲しいとお願いされ、JavaScriptのソースを提供したり。
つい最近のような気がしますが、もうかれこれ7年前の話です。

なんて、思い出話をしてたら、ひとつ思い出したことが。
当時、金城さんが送ってくれたたくさんのヤドカリたち。
それらがどこでどんな環境で採取されたのか、今後のヤドカリ研究(笑)に生かしたいと思い、そのログデータを作って欲しいとお願いしてあったのですが。。。
あり? そう言えばまだ貰ってない。。。笑
ちょうどサンゴの養殖で多忙な時期でしたけど、いつもメールで「そのうち絶対に作ります!」と律儀に繰り返しておられましたっけ。

おい。まだか(笑)

ま、それはもう時効(笑)として、また余裕ができたらヤドカリ探してくださいな♪

以上、流行に便乗したミーハーネタでした(笑)

そうそう。金城さん、さりげなくワンシーン出てなかった?
岡村さんの横で水槽設置してたような気が。。。
でもエンドロールで名前確認できなかった。
ちゃんと起きてたんだけどなぁ(曝)

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アクア視点のLED講座:美味しい白の話

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なんか、すっかりGW真っ盛り?のようで、おもてはすっかり静まりかえってるだわ。
みんな、どこへ行ってしまったのかしら。
僕はここにいるよ。。。

かと思えば、どこからともなく懐かしいメロディが。
あぁ、やっぱり。カエルの大合唱のようですよ。
ん。あれって春だっけ?

なぁんて、風流に舌鼓♪
いや、カエルは食ってない。
って、何の話だっけ。
あ、えるいぃでぃの話だわ。
みんな居ないみたいだし、暇つぶしにアクア向けLED講釈でも書き散らすんだわ。

最近、何かとアクアを賑わすLEDですけど。
でも僕らが議論すべきLEDは、あくまでアクアな世界のLED
間違っても一般照明のLED要素なんて持ち込むと、大変ややこしくなるので注意のこと。

例えば演色性。
LEDは演色性が悪いだの、蛍光灯のがマシだの、と言うのは人間の目で見た場合の話。
海洋生物はそんなもの求めてませんだわ。
光合成や代謝に必要な波長があるかどうか、それに尽きます。

疑似白色と言う呼ばれ方も、これは人間様の表現。
「白色LEDはさ、青発光と黄色の蛍光体で作った嘘の白なんだよね」
「RGB素子の白はさ、光の三原色だから、マジ白いんだよね」
だからね、これは人間様の目の都合のお話。

白く見えるかどうかが重要ではなく、生体に必要な波長を含むかどうかが重要なのです。
「光の色が何色に見えるか」と考えてしまうと、大変な間違いが起こります。

例えば、赤と青を混ぜて紫に見える光を作りました。でもそれはUVを欲する生体の要求を満たすでしょうか?
いえ。混ぜたからと言って400nmの波長にはなりません。ただの赤青光です。
例えば、赤と緑を混ぜて黄色に見える光を作りました。でもそれは黄色を欲する生体の要求を満たすでしょうか?
いえ。仮に赤650nmと緑500nmを混ぜても、あくまでもそれらを含むと言うだけの光に過ぎません。黄色の550nmの波長が湧いて出る訳ではないのです。

別の言い方をするなら、そもそも黄色の物体がなぜ黄色に見えるのかと言うと、それは太陽光の波長帯域のうち黄色の帯域を反射し、逆に他の帯域を吸収するからです。
しかし、赤と緑で作った黄色に見える光を黄色い物体に当てても、そもそも黄色の波長が含まれていない訳ですから、黄色の物体は黄色の光を反射させることができません。要するに、「黄色を主張することが出来ない」と言うことになります。

この事に気付けば、人間の都合の白色と、海洋生物の都合の白色、どちらが疑似白色なのか立場が逆転します。

RGBで作った白は各色の中間色が欠けてますから、シアンや黄色を正しく照らす(反射させる)事が出来ません。
一方、人間が言う疑似白色のLEDは、蛍光体による励起帯の両端は弱いものの、とりあえず青~赤までの波長のほぼ全域を含んでいますから、生体にとっては利用すべき波長が少なからず満遍なく存在するため、むしろ有り難い白色と言えます。
そう。生体から見れば、白色LEDの方が美味しい白色であり、RGBこそが疑似白色と言える訳です。

と言うことは、人間がRGBによる白色光を自慢げに生体に与えても、生体にしてみれば「黄色入っとらんやんけ」「わしゃ、おまえらが言う疑似白色の方がええのぉ」と言う事になりそうです。

但し、シアンや黄色を利用する生体は、海洋生物でこそ多種多様に存在(カロテノイド系光合成色素がシアン、フィコビリン系光合成色素が黄色を利用)しますが、陸生植物や水草あたりではクロロフィル光合成色素がメインなので、対象は少ないでしょう。
淡水か海水か。ここにも大きな都合の違いがありますね。
淡水なら、とりあえずクロロフィルを対象に青と赤を与える事になるので、RGBでも活躍の場がありそう。でも極端に言えば、先の例のように、青と赤で作った紫でも十分かも(笑)
ただ厳密には、クロロフィルの光合成に本当に必要な赤(600nm後半、FR等)は、一般的な赤LEDでは得られないので、やはりそれらも僅かに含む白色LEDに分がありそうです。それか、電球色LEDや橙色LEDを混ぜた方が手っ取り早いかな。

さあ、一般照明業界で議論される「白」を水槽に持ち込むのはやめましょう♪
光がどう見えるかよりも、光を受けた生体がどう主張できるのかを考えるのですっ。

光合成色素の吸収スペクトル

参考:光合成色素の利用波長帯域(ラインの色が色素色)
青~シアン帯域をカロテノイド系色素が、緑~黄色、黄色~橙帯域をフィコビリン系色素が利用しているのが判る。

光合成色素の吸収スペクトルとLEDの波長帯

参考:先の図にLED各色の出力帯域を重ねたもの
一般的な赤LEDでは、クロロフィルbは辛うじてかすめるが、クロロフィルaはカバーできていない。しかしアンバー色やオレンジ色LEDはクロロフィルaもカバーしている(白色LEDも僅かながらカバー)。またフィコビリン系色素に対しても赤LEDはフィコシアニンのみをかすめる程度だが、白LEDならばフィコシアニンもフィコエリトリンも完全にカバーできている。
よって、RGB3色による白色では、いずれの光合成色素も中途半端でしかカバーできないため、アンバーかオレンジを追加すべきである(但し、黄色LEDでは不完全)

結論:水槽用LED照明で白を実装するには、白LEDや電球色(アンバー)を用いましょう。RGBを使う場合でも、中身は青・緑・赤の素子を混在させる事と同義なので、尚のこと白かアンバーで補強しすると良いでしょう。

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